お客様の声 エレファンテック株式会社 様
一番の魅力は、フィードバックが返ってくること。海外の安い基板製造サービスにないサービスが助かります
手書きで電子回路を作成できるペンや、市販のプリンタで電子回路を印刷できるインクカートリッジなどを開発しているエレファンテック株式会社。今までにない革新的な製品の開発に取り組んでいる同社に、この新技術の詳細や今後の展開そして「P板.com」の魅力についてお聞きしました。

清水信哉 様 エレファンテック株式会社 代表取締役社長
事業内容をお聞かせください。
清水さん 銀のナノ粒子を含んだ特殊な導電性インクを使ったペンやインクジェットプリンタ用カートリッジの企画・製造を行っています。
この特殊インクは写真用光沢紙に印刷後、数秒で乾き、コーティングなどの後処理を行わなくてもそのまますぐに導電性を示します。
そして、このインクを利用したペンで手描きすることにより、簡単に電子基板を作成できます。
また、プリンタ用カートリッジについては、市販のインクジェットプリンタに使われている純正カートリッジの代わりにセットするだけで、
パソコンを使って普通のプリンタを使用するのと同じ感覚で電子基板を簡単に印刷することが可能となります。
既存のプリント基板に比べてどのようなメリットがあるのでしょうか?
清水さん とにかく基板の作成が早く安くできる点です。一般的なプリント基板の製造納期は5〜6日くらいで、料金は小さいものでも1〜2万円はかかります。
この特殊インクを使えば、色々と制限はあるものの、プリンタを使って2〜3分で作成することができますし、コストも100円くらいしかかかりません。
ペンについては、子どもが電気回路を学ぶための教材にも使えます。このほかにも、既存のプリント基板にはできなかった、「大面積の回路を作れる」というメリットもあり、
壁面広告や大きなポスターなどに使える可能性があります。
例えばタッチすると光る広告なんていうのも作成することもできます。また、我々は芸大の学生とも交流があるのですが、
彼らもこの導電性インクには大きな関心を寄せています。アート作品の場合、配線が出ていると見栄えがよくないですが、
このインクを使えばアート作品の一部を配線にしてしまうことだって可能です。
起業の経緯を教えてください。
清水さん 弊社は2014年1月に創業したばかりの会社です。私は以前、東京大学の大学院で研究をしていたのですが、2年前に将来の起業を見据えて経営ノウハウを身に付けたいと考えて、
マッキンゼーに入社しました。そんな中、昨年秋に海外で東大の川原圭博准教授にお会いし、この導電性インクの話を聞いたところ、そこに大きなビジネスの可能性を感じて起業に至りました。
これまでKickStarterなどのクラウドファンディングを利用して資金を調達して開発を行ってきましたが、いよいよこれから9月初旬にペン製品、9月中にプリンタ用カートリッジを正式に発売する予定です。
P板.comの魅力をお聞かせください。
清水さん P板.comは大学院の研究室にいた頃からよく使っていました。マッキンゼー時代にも趣味でオープンプール(プロジェクターとキネクトを使ってバーチャルなビリヤードを行うプロジェクト)
の開発を行うなど、電子回路を使ったさまざまな工作に取り組んできており、そのような活動の中でP板.comは何度も利用しています。
P板.comの一番の魅力は、
依頼したパターンに対してフィードバックが返ってくる点ですね。「この部分がシルクと被っていますけど、避けた方がいいのではないでしょうか?」といったように、
ひと通りチェックしていただけます。海外の安い基板製造サービスを使うこともあるのですが、そちらは基本的にそのようなアドバイスは受けられないので、そこは助かりますね。
エレファンテック株式会社の製品にはまだP板.comを使ってはいませんが、今後、基板を製作する必要がある場合はぜひ利用したいと思っています。
今後の展望をお聞かせください。
清水さん この導電性の新しい技術を利用して、今まで電子回路を触ったことのないような方にも、電子回路に気軽にアクセスできるようにしたいという思いがあります。
これまで電子工作キットといえば、秋葉原のパーツショップに行って買うようなものでしたが、ロフトなどの大型雑貨店や、玩具店などで買えるようにしていきたいと思います。
導電性インクについては海外に競合他社が存在しますが、弊社が扱っているインクは速乾性や抵抗値の小ささなどにおいて大きく優っていますので、
その優位性を活かして普及に取り組んでいきたいと思います。
お忙しいなか、とても貴重なお話をありがとうございました。